【フェラーリ・クラブ・オブ・ジャパン創立20周年記念コーナー】
今回、東京コンクール・デレガンス2009のテーマ展示、「フェラーリ・クラブ・オブ・ジャパン創立20周年記念コーナー」にてお披露目される "フェラーリSP1" は、マラネロのフェラーリ本社が、実に半世紀ぶりにオフィシャル製作した一品製作のスペチアーレ。注文主は、フェラーリ・クラブ・オブ・ジャパンの元会長にして、日本を代表するフェラリスタの一人である。注文主の要望でF430ベースとされたこのクルマは、フェラーリ社の製品保証が公式的に付けられているのはもちろん、現代の厳しい交通法規が要求する保安基準もすべて満たしている。また、メーカーとしての責任を重んじるマラネロの意向によって、Aピラーやウインドシールドなどの重要な部位については、すでに当局にクラッシュテストの結果が届出済みのF430ベルリネッタと共用することを義務付けられていたという。
この世界でただ一台のフェラーリのボディデザインを担当したのは、ピニンファリーナ社の元チーフスタイリストで、デイトナやディーノ、308GTB/S、そしてBBなどに代表される往年のフェラーリの傑作の数々を手掛けたレオナルド・フィオラヴァンティ氏その人。これらの作品と独特のデザイン哲学で、世界的な尊敬を受けている名匠である。現代のフェラーリは、ピニンファリーナがデザインを担当するのが通例となっているが、注文主自身がフィオラヴァンティ作品を敬愛してやまないファンだったため、フェラーリにとっては異例とも言うべき、この人選が行われることになった。一方、フィオラヴァンティ氏側は注文主の熱意に応え、1968年に製作されたデザイン習作 "250P5" や1973年から1984年に生産された "365/512BB" などをモチーフとしつつも、エレガントかつ未来的なデザインを実現するに至った。フロント周りにはF430の面影を感じさせるが、特にサイドからリアに流れる端正で女性的なラインは、まさしくフィオラヴァンティ作品の真骨頂といえよう。
まずは厳格なことで有名なフェラーリがこの壮大なプロジェクトにGoサインを出したこと。そして、現時点ではオフィシャルデザイナーでないフィオラヴァンティ氏のデザインが、「フェラーリ」の名のもとに実現したこと。これらはすべて、「奇跡」といっても過言ではないだろう。この美しきスペチアーレは、一愛好家と名デザイナーの夢の結晶というだけに留まらず、フェラーリ社にとっても記念すべきマイルストーン的モデルなのだ。