メルセデス・ベンツ300SLは、単にメルセデスのみならず、古今東西の全スポーツカーにとっても金字塔的なスーパースポーツ。バードケージ状の鋼管スペースフレームは、1950年代中盤のレースシーンを完全に制覇した純粋なグランプリ/レーシングスポーツのW196&W196R(300SLR)直系の本格的なものとされている。しかし、サイドシルの高い位置にも構造材が入るため、先に作られたクーペでは低いルーフと両立するための苦肉の策として、このモデルの代名詞となったガルウィングドアが採用された。一方、300SLクーペの後継車として1957年3月に発表されたこのロードスター版は、当時のGTレースでも活躍した300SLクーペのスパルタンさこそ失われたが、格段に豪華さを増した内外装とサスペンションの改良でトリッキーさが抑えられた操縦性、そしてサイドシルを下げることによって懸案の乗降性も向上されたことから、極めて洗練されたスーパースポーツへと成長した。