1894年創業のドライエは大型商用車を得意とする主力メーカーだったが、1930年代から高級乗用車に本格進出、豪奢でエレガントな高性能車を製作した。135Mは1935年にデビューしたドライエを代表するモデルで、ル・マン24時間レースでも優勝する高性能を示した一方、仏国内外のカロジエによってさまざまなボディが架装されて、当時のコンクールの "華" とも称された。この時期のドライエの象徴とされるのがこのボディ。デザイナーのジョセフ・フィゴニと、マネージャーのオヴィディオ・ファラシという二人のイタリア人がパリに開いたカロジエ、フィゴニ・エ・ファラシの傑作である。官能的とさえ称される曲面構成を本分とするフランスのカロジエの中でも、とりわけフィゴニのデザインは球根型のフェンダーと、火炎のような有機的デザインのメッキリムの装飾が施され、ベル・エポック期のフランス高級車の間で短期間のみ流行した "フラムボワイアン" 派の代表と目されていた。