かつて日本でも「スポーツカーの代名詞」と称されたMGは、1920年代から安価で魅力的な小型スポーツカーを送り出してきた。中でも代表的モデルである "ミジェット" は、1928年発売のタイプM、1932年のタイプJを経て、1934年にはPAミジェットに進化を遂げた。歴代ミジェットには、いかにも英国の軽スポーツカーらしいプリミティブなロードスターボディが組み合わされる例が多かったが、このクルマには1930年代半ばの世界的な流線型ブームに応じた、美しい "エアラインクーペ" ボディが組み合わされている。小柄ながら独特のエレガンスを湛える流線型ボディは、当時のMGのボディの多くを担当していたカーボディーズ社が架装したものである。1935年にはエンジンを拡大したPBに進化するが、後継車となるTAミジェットがデビューするまでの僅か約1年のみの短命に終わった。中でも今回の出品車であるPBエアラインクーペは、わずか14台のみ製作されたに過ぎない。