1906年に創立したドラージュは、1920~1930年代に最盛期を迎え、第二次大戦後間もなく消えた幻のブランド。1920年代にはGPレースでも全欧タイトルを獲得するなどの活躍を果たす一方、市販モデルは今回出品されるDIのような、上質でスポーティな中型車を得意とした。この時代のドラージュには、当時のフランスに数多く存在したカロジエ(コーチビルダー)による美しいボディが競うように架装され、創生期のコンクール・デレガンスではスター的存在となった。「運転手付きで乗るならロールス・ロイス、自分で操縦を楽しむならアルファロメオ。そして恋人に贈るならドラージュ。」という艶っぽい例え話があるのも、ベル・エポック時代のパリにて人気を得たドラージュならではだろう。ヴィンテージ初期には、瀟洒なスキッフ(小舟)ボディが流行となったが、特にこのドラージュDIのスキッフボディは、本物の小舟以上に美しいチークウッドで作られたすばらしいものである。